日本のみなさんへ–アレギザンダー教授からのメッセージ
日付:9/8/2011
場所:アレギザンダー教授宅、アンデル、英国
(笑い)
最初に笑いを入れるのが、私のスピーチのこつです。
中埜さんが、私に何か短いスピーチを話してほしいと言ってきました。
もちろん、彼の感じているのは、今回の地震や、津波によって、今の日本が大変な状況に直面しているということです。これは、中埜さんからの情報ですが、日本人は、この災害で大きく自信を失い、どうして復興すれば良いのかの道すら、見失いかけているということでした。
実際には、これは日本のことだけではないのです。アメリカも同じなのです。いまだ、はっきり口に出す人は少ないですが、英国も同じ状況なのです。多くの国々で、人々が同じような失望感にとらえられていると言うのは、大げさではないのです。
問題は、では、どうすればよいのかです。
私は、ずっと長い間、あるものを求めてきました。
それは、美しさとは何か、そして、正しさとは何かということです。
大変子供っぽい疑問ですが、私はもう十分、年もとりましたし、そう言われてもかまいません。
私の助言は、何かを決定するとき、何かの行動をするとき、何かを作り出すときに、そういった活動すべてに、いつでも、それが、本当にあなたの内部からにじみ出る美しさに裏付けられているかと、問うことです。たとえそれが、何かの行動でも、発言でも良いです。それは、絵を描くときであっても、詩を詠うときでも、何であっても– それは、老人をバスに乗せるために手伝っているときでも、同じ問いです。
心の内部からにじみ出る美しさにあなたは、今貢献しているかと、問うことです。
この問いを真剣に行うならば、すべてに変化が起こります。
もちろん、これを最初に聞いた人が、「ええっ、それに何の意味があるんだい?」と問うてくるでしょう。また、「そんなことは馬鹿げている」と一笑にふす人もいるでしょう。しかし、この現実的な美に直面するならば、まず、あなた自身が変わるでしょう。次に、それを見ている人が変わるでしょう。そして、そのことを考えていた人々が変わるでしょう。
そのとき、新しい道が開けるのです。
これは単純なことですが、大変、力があるのです。なぜなら、これは、心の底から産まれてくるものだからです。
日本語でいう「こころ」からです。
ですから、この助言は、とってもささやかなことですが、あなた自身の人生をも変えることでしょう。
あなたがたは、世の中のいたるところに、散らばっている小さな美しさを見つける努力をしてほしいのです。ちょうど今、私たちがこの台所で、話し合っていたように、「あの樹の枝の葉の間の漏れ日が美しい、かわいい」と。
それは、大げさなことではありません、大いなることなのです。
この小さな景色を探しつづけること、その小さな行為を求めつづけること、小さなこころの感動を感じつづけること、そのために、人生に貢献するように生きていくことは、何ものもそこから、切り離すことはできません。お金が、そのなかで、とっても醜い方法で、それを切り離そうと、多くの場合、そうしてくるでしょう。
しかし、あの緑の樹々の葉の木漏れ日は、決してあなたの「こころ」から、切り離すことはできないのです。
ありがとう。
クリストファー・アレギザンダー